ご挨拶

この度、第33回日本ストレス学会学術総会を2017年10月21日(土)・22日(日)の2日間、大阪府柏原市で開催させていただくことになりました。

今年は国家資格「公認心理師法」の施行開始年にあたります。学術総会開催時には、第一回国家試験を翌年に控えて心理学界はバタバタしていることでしょう。心理学を専門とする私が大会長を仰せつかったのも、このタイミングと無縁ではなさそうです。国民の心の健康問題に、心理の立場で貢献せよとの神の声が聞こえてくるような気がしています。

開催校である玉手山学園関西福祉科学大学は、今年で創立20年を迎え、本学術総会も記念事業の一つとして捉え、公開シンポジウムも企画に入れております。私が学部長を務める心理科学部も2016年に開設されたばかりで、この伝統ある学会の運営を担うことを強い使命感を抱いております。

わが国の社会事情を顧みますと、ストレス学会のテーマ選びには事欠かない状況が続きます。

働く人のメンタルヘルスの問題、さしずめ労働安全衛生法改正によるストレスチェック制度の導入は第一の話題でしょう。導入から1年がたち、ようやく従業員のストレス問題 への対策が本格化してきました。

震災被災者のメンタルヘルスの問題も重要です。東日本大震災から6年が過ぎ、原発事故による避難住民の問題はさらに問題を難しくしています。熊本地震から1年が過ぎ、被災地区住民の震災ストレス反応は現在進行形です。

少子高齢社会はますます進み、認知症や寝たきりの余生を避けようと様々な工夫が考えられていますが、老化や死を前にして抱く不安は、あらゆる社会に充満しているようにみえます。

一方世界をみると、自国第一を主張する勢力の急速な台頭で、国際平和という言葉が軽くなり、いつ戦争が起こってもおかしくない一触即発の状況が感じられます。

学術総会の2日間は、こうした様々なストレスにまつわる問題を、単に社会問題と位置付けるのではなく、科学的視点に立って整理・整頓するための学術の祭典にしたいと思っています。シンポジウムや講演は、(1)ストレスの基礎研究と、(2)ストレスの臨床研究に二分されますが、それらを融合し社会への還元をめざす第三の分野として(3)心理科学的研究を付け加えたいとおもいます。ストレスマネジメント実践研究、ポジティブ心理学の立場に立ったメンタルヘルス介入研究などが第三の分野の目玉になると期待しています。

第33回大会をきっかけに、基礎医学、臨床医学、心理科学が三位一体となって、日本のストレス模様をより良き状態(wellbeing)に導くことになりますよう、大いに期待しています。


第33回日本ストレス学会学術総会
会長 山田 冨美雄(関西福祉科学大学心理科学部教授)